車って、へこむと出っぱるって知ってました?
そう、へこむと出っぱるんです・・・周りが。
車のボディというのは、全ての面がわずかに曲面になっていて、平らな部分はありません。
『ドアの横とか平らじゃね?』
と思うかもしれませんが、真っ平らではありません。
必ず外側に膨らむようにわずかに曲面になっています。
(デザイン上、逆アールになっている部分もありますが、これも曲面です。)
なぜなら真っ平らにしてしまうと、鉄板に張りが失われ、軽く押しただけで『ペコペコ』とへこんだり戻ったりして、鉄板が暴れてしまうからです。
ドアを閉めただけで鉄板が波打ったり、その衝撃で鉄板が歪んだりしないように。
ピンと張った鉄板が何かにぶつかってへこむと、張りを保っていた鉄板が逃げ場を失い、へこみの周囲に隆起するのです。
修理方法 鈑金
へこんだ車の修理方法は、へこみの裏側から押す・叩くなどして膨らませることで元の形に近づけます。
ただほとんどの場合、裏側に手が入らないので、へこみの表面の塗装を剥がしてワッシャーなどを溶接して引っ張ることでへこみを膨らませます。
しかし、ぶつかってへこんだ瞬間から、へこみの周囲は隆起しているので、へこみの部分を膨らませながら隆起している部分をハンマーで叩くのです。
下地処理
ある程度平らになったら、叩いた部分の塗膜を剥がします。
ベルトサンダーやシングルポリッシャーなどのエアツールを使い、綺麗に塗膜を剥がします。
ベルトサンダー
シングルポリッシャー
塗膜を剥がす理由とは
叩いたことで塗膜にヒビが入ったり、鉄板と剥離している可能性があります。その上から塗装してしまうと
塗った塗装も一緒に剥がれてしまう恐れがあります。
剥がれる恐れのある塗膜は先に剥がしておきます。
フェザーエッジを作る
剥がした塗膜と周りにある既存の塗膜の境目は段差がきつくなっています。
手でさわっても段差がきついのがわかります。
その状態でパテをつけても、きつい段差を埋めにくいのです。
引き出しや、本棚のカドのホコリが取りにくいのと同じように、塗膜の段差のカドの部分に溜まった削りカスや油分は取りにくく、パテの剥離の原因になります。
そのカドをなくすためにダブルアクションポリッシャーでカドをなだらかにします。
すると、
①鉄板
②下地(サフェーサーなどの錆止め塗料)
③カラー塗料
④クリア塗料
と、塗り重なっているものが、綺麗な鳥の羽根の模様になります。
羽根の模様にすることで、鉄板と塗膜の境目はなだらかになったと判断できます。
脱脂
パテをつけるため、ホコリや油分を除去します。
ここで使うのは、シリコンオフやパーツクリーナーなど、揮発性の高い脱脂用の溶剤です。
特に油分はしっかり除去しないとパテや塗装の剥離の原因になります。
次はいよいよパテ埋めです。
長くなるのでまた次回!