皆さんは、車で事故ったり、ちょっとこすったり、修理しなければならない状態になったら、どこに預けるか決めてますか?
僕は問答無用で自分の会社に出すしか選択肢を与えられてないのですが
そういったしがらみがない皆さんなら、状況によって
ちゃんとディーラーに出したい とか、
世話になってる近所の鈑金工場に出したい とか、
急いでるからとにかく早くやってくれるところ(クイックリペアとかスピード鈑金みたいな店)に出したい とか、
皆さん色々お考えでしょうが、いったいどれがいいんでしょう?
では1つずつどんな修理をしてくれるのか検証してみます。
①ディーラーに出す
ディーラーに出した場合、どういった修理をしてくれるのか?
ちゃんとした設備で、綺麗に、丁寧にやってくれるに違いない!
そう思っている方、よ〜く見てください。
そのディーラーを見て、鈑金塗装の設備がありますか?
おそらくほとんどのディーラーに鈑金塗装の設備が備わっていないでしょう。
なぜならほとんどのディーラーは内製工場を持たず、ある程度の技術を持つ町の鈑金工場に外注として出しています。
この下請けの契約を結んでいる工場は複数あり、お客さんのレベルに応じて出す工場を決めています。
例えば、年式の新しい車に乗っているお客さんや、いつも車を綺麗にしていて、少しの傷も見逃さないお客さんなど、レベルの高い技術を要する場合は、技術レベルの高い工場へ。
ボロい車や、あまり気にしなさそうなお客さんにはそれなりの工場へと、こっそり使い分けています。
洗車もせず、車内も汚くしていると、とんでもない工場に出されてしまうかもしれませんよ!
ディーラーに出した場合の金額
気になる金額ですが、どこに出すよりも一番高い見積もりになることは間違いありません。
理由その1
下請けに出すため、必ず中間マージンが発生します。
高いディーラーは40%取ります。
鈑金工場に直で出せば、修理方法についての相談もしやすいですし、安価でやってくれる可能性もあります。
しかし、ディーラーを通すとなると、施工者との接点がないのでこちらの要望も通じにくいですし、
安くやって欲しいと伝えても、『交換が一番いいですよ。』などとはぐらかされるのがオチです。
理由その2
基本的に部品は修理せずに新品に交換する。
ディーラーはメーカーから直接部品を供給できるため、町の鈑金工場や、部品商よりも格安で仕入れが出来ます。
町工場や部品商は定価の90%〜95%での仕入れになりますが、ディーラーは30〜50%ではないかと言われてます。(ディーラーの内部の人間ではないので詳しい数値は不明ですが)
なので、簡単に鈑金塗装で直る傷も、部品丸ごと交換し、定価で請求します。
以前、僕の妻の車が当て逃げされ、ディーラーにて車両保険で修理しました。
僕の見立てではキズだけでへこみがほとんどなかったので、修理でいけると思ってました。
しかし、明細を見せてもらうと前後のドア交換と書いてあり、金額も30万オーバーでした。
僕が今務めている会社でも10万程度で修理できるキズですよ。
これは保険修理だから、お客である妻が支払うお金はありません。
しかし、これが自費となると話は別です。
以上の理由から、ディーラーに任せる場合は保険修理で自費が出ない場合のみお願いするべきかなと思います。
ただし、ディーラーに出すメリットもあります。
それは、最終的に目の肥えたフロントマンがチェックするので、出来栄えが悪いと簡単にやり直しを迫ります(笑)
もちろん、やり直しは無料!
お客さんの手元に来るときは、お客さんが必ず納得できるというレベルで修理されています。
②町の鈑金工場に出す
町の鈑金工場に出したい!と思っていも、知り合いでもない限りなかなか難しいと思います。
ほとんどの鈑金工場は小規模で社員数も少なく、職人として仕事をしている人達がほとんどです。
しかも、ディーラーや、中古車屋の下請けの仕事をしている場合が多く、一般客向けの看板なども特に設置していない工場もあります。
そのため、お客さんとしては非常に入りにくい場合が多いです。
しかし、仲良くなってしまえば気さくな人も多く、修理方法についても親身になって相談に乗ってくれます。
修理でいけるか?交換が必要か?
交換が必要なら、リサイクル部品を探してくれたりと、臨機応変に対応してくれます。
そのため、結果的にとても安く綺麗に直してもらえることがほとんどです。
このような対応はディーラーは絶対にしてくれません。
修理?リサイクル部品?売上至上主義のディーラーで末端のフロントマンがそんなことをしたら、上から何を言われるかわかりません!
デメリットとしては、外見で腕の良し悪しが判断できないので、何も知らずに突撃するにはリスクがあります。
③クイックリペアや軽鈑金専門店など、とにかく早くやってくれる店に出す。
よほど急いでいるか、次回の車検までには乗り換えるか。
そうでもない限り、僕ならなるべくお願いしたくありません。
そもそも鈑金塗装とは仕事の性質上、時間がかかるものです。
その時間を極端に短くするという事は、必ずどこかにしわ寄せが入ります。
例えば、
1.部品の脱着をせず、マスキングのみで塗装。
メリット:エンブレムや、ウインカー、モールなどを外さずにマスキングすることで、
部品の脱着時間の節約、または細かい部品の新品への交換リスクがないのがメリット。
デメリット:マスキングの境目から、塗装が剥がれるリスクがある。
2.足付け(目の細かいサンドペーパーで磨くことで、塗装の密着力を劇的に高める。)をせず、塗料を密着させるためのプライマーというスプレーをかけてから塗装する。
メリット:足付けの時間短縮。(塗る面積によっては数時間短縮される)
デメリット:足付けほど密着力は強くないため、密着不良による塗装の剥がれが起こる場合がある。
3.ぼかしを多用する。
メリット:バンパー1本丸ごと塗装や、ドアパネル1枚丸ごと塗装という事をせず、
キズ周辺までの塗装のみにして周りをぼかすため、塗料の使用量が少なく、乾燥時間も短い。
デメリット:1~2年、早ければ数カ月でぼかし目が目立つようになり、塗った部分が丸わかりになる。
総合してみると、メリットはすべて施工時間の短縮にあり、クオリティそのものがデメリットにさらされることになります。
以上のことから、僕としては緊急事態を除けばお願いするメリットがないのかなと思ってます。
ちなみに次回の車検までに乗り換えるなら、走行に支障がない限り直す必要もないのでは?と思っちゃいます(汗)
いかがでしょうか?
それぞれにメリット、デメリットがありますので、うまく使い分けていきましょう。